第6回1995年2/11
「新潟にオーロラ出現」
神秘の赤いベールが北の空を染めた
自然が作り出す壮大な光のシンフォニー「オーロラ」。北極圏や南極地方へ行かないと、普段は見ることが出来ない極光の輝きを、1度は見てみたいと多くの人々が口にします。
今から37年前の昭和33年の今日-2月11日、このあこがれの光が新潟から見えました。当時の12日の新聞を調べると、各紙「史上最大のオーロラ・北の空を赤く染める!」という見出しが大きく紙面を飾っています。北海道、東北、北陸、関東の広い範囲で北の空に広がる赤い色のオーロラが観測されたと言います。この異常な現象に、シベリアが火事だと騒ぎになったとか、オーストリアでは、山火事と間違えて、通報が50回もあったとか、あこがれのオーロラも見慣れない場所では、人々に混乱を招いてしまったようです。
オーロラの出現は太陽活動と密接な関係があり、太陽表面にフレアーと呼ばれる爆発現象が起こると大きな磁気嵐を引き起こし、電波通信障害をもたらしたり、激しいオーロラを引き起こしたりします。普段は緑色をして輝くオーロラも、この様なときには七色の輝きを見せ、激しく空を動き回ります。その様子は、まるで、天を駆ける竜のように、巨大な生き物を感じさせ、この世のものとは思えない感動と同時に強い畏怖の念を与えます。10年に1度ほどの割合で出現する最も激しいオーロラは、空一面を赤く染め、「血のオーロラ」として、昔から人々に恐れられました。この様なものは、「低緯度オーロラ」とも呼ばれており、比較的緯度の低い地域でも見ることが出来ます。
新潟でのオーロラは、その後、7年前の10月21日にかすかながら、新潟大学で観測されました。この時は、北海道で赤いオーロラの写真が撮影されています。
最近はテレビなどでときどきオーロラの映像が流れ、ツアーの紹介なども見られるようになりました。今頃から3月下旬にかけてが晴天率も高く、北極圏オーロラ・ツアーのシーズンです。ノルウェーのラップランド、カナダのイエローナイフ、アラスカのチェナ温泉が特に有名な場所となっています。旅行計画を立てるときは、満月前後の1週間はさけるようにしてください。明るい月があると、空が照らされ、せっかくのオーロラがかすんでしまいます。
(キャプション)
1989年カナダのイエローナイフで撮影した渦巻くオーロラ。気温は-30度。-50度の夜も珍しくありません。
星紀行抜粋(165タイトルより抜粋)