ぎらぎら輝く太陽が太平洋の水平線に沈むと、みるみると空の色彩が変化してゆきます。東の空には我が地球の影が薄暗いダークゾーンとなって投射されています。まもなくやってくる宇宙に近い星空、ラス・カンパナス天文台の本当のすばらしさがやってきます。
日没三態
延べ1ヶ月の滞在で初めて曇った日の日没は、雲から差し込む赤い光ですべての風景が赤くなります。中央の写真は、太平洋に沈むときに見えた四角い太陽です。左は、日没時に変形した太陽の上の方が次々とちぎれて緑色を放って消えてゆきます。「グリーンセグメント」です。そして最後の瞬間に見えるのが「グリーンフラッシュ」です。
天文台の夕暮れ
まだ赤みを残した空に星の軌跡が写り込みます。数十分の露出時間、澄みきった大気のもとで、星々の輝きが栄えます。夜のとばりがおりる前から、すでに口径2.5メートルの大反射望遠鏡のドームが開き観測の準備にとりかかります。
冬の星座の軌跡・大小マゼラン雲・月夜の天文台・南十字方向
89年5月と12月の滞在で日本からは見ることのできない様々な星空を体験することができました。12月、オリオン座をはじめとする冬の星座は、アンデスでは逆さに昇ってきます。しかも、12月は夏なのです。大小のちぎれ雲のように見えるマゼラン雲も南半球ならではの天体。あこがれの南十字星もとても身近な存在になってしまいます。銀河の輝きはまるで銀の砂を散りばめたという形容につきるようです。
天の川中心を望む
アンデスの星空の最大の収穫は、我が銀河系の断面「天の川」の中心方向を天頂(頭の真上)に見ることができたということでしょう。大きな口を開けたように迫ってくる天の川、まさに紡錘状銀河の断面、私達はその一員であることを実感します。
星空の様々なドラマ
宇宙には様々なドラマが繰り広げられています。山頂で撮影したいくつかの天体をご紹介します。左から、南天で最も美しいと言われる「イータ・カリーナ星雲」、赤いガスにつつまれたオリオン座の中心部、大マゼラン銀河のフルショット、へび座の銀河に横たわる黒々としたS字状暗黒星雲。
アリスタルコス・木星・土星
星を観測する際に最も重要なことは空気がどれくらい落ち着いているかです。ラスカンパナス天文台は、世界でもトップクラスの条件を誇ります。特に月や惑星を望遠鏡を通して眺めるとはっきり分かります。高倍率でも表面の細かな様子がよく分かります。特に、空に張り付いたように見える土星の輪の神秘な輝きが印象的でした。
■ラス・カンパナス天文台取材とセロ・トロロ天文台・ヨーロッパ南天天文台■
NHK取材の中でかいま見た天文台のスナップショットをご紹介します。また、チリにある他の有名な天文台と、そこで撮影したスナップショットをご紹介します。
■マウナケア97取材■マウナケア98取材■すばるファーストライト取材■モンゴルHB彗星取材■チリ・アンデスの星空■