「新潟星紀行」沼澤茂美



第46回
1997/11/17


しし座流星雨の期待

今夜半過ぎの空に注目

これは、1997年に書かれた原稿です。流星雨出現は1998年または1999年の同日と予測されています。


 今夜から明日の朝にかけて「しし座流星群」のピークをむかえます。ふだんの年でも、ピーク時に1時間当たり約30個の流れ星を見ることが出来ます。これは、良く知られる夏の「ペルセウス座流星群」の半分にも満たない規模ですが、ここにきて、しし座流星群は、大きな注目を集めています。 予想されている1999年の大出現、「しし座流星雨(りゅうせいう)」を間近にして、流れ星の数が増えているのです。専門家の予想では、ペルセウス座流星群をしのぐ活動を見せるとも言われています。その場合は、1時間当たり100個以上、期待は高まります。
 私達が大きな期待を寄せるのは、この流星雨が、歴史上最も壮観な情景を、確実に見せてくれたことによります。
 その記録は、紀元902年までさかのぼることが出来ます。1799年には、ブラジルでフンボルトが眺めている様子が絵に残っていますし、1833年の出現は流星観測史上空前絶後の大出現を見せ、その凄さを伝える多くの図版が残されています。この時は、最も多いときで1時間に20万個の流星が5〜6時間にわたって流れ続け、「吹雪の時に舞う雪片のようなながめであった。」といいます。
 この出現をきっかけに、科学者は過去の記録を検証し、33年〜34年の規則正しい周期で11月に起こったすべての流星雨が同一のものであることを突き止めました。しし座流星雨の存在が確定したのです。
 今日では、この流星雨が、33年の周期で公転する「テンペル・タットル彗星」がまき散らしたチリによって起こることが分かっています。
 前回の出現は、1966年でした。この時は、アメリカやヨーロッパを中心に大出現が観測されました。ピーク時の1分間に流れた流星は2400個、1時間では何と15万個にのぼったと言います。初めての写真撮影が行われましたが、2分足らずの露出を加えた1コマの写真に、20個もの流星が写っていたといいます。
 今夜から明日にかけて、その大出現の前触れを体験してみてはいかがでしょう。月齢は上弦前ですから夜半前には月が沈み、東の空からしし座が昇ってくる頃には条件は最良になります。

 キャプション:木版画に見られる1833年の「しし座流星雨(りゅうせいう)」の様子。

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